カリンとコト                           2003.5月
                 

時が経つのは早いもので 今日で孫のカリンが満一歳を迎える。
カリンのお父さんは 生まれる前から女の子と信じていて、
女の子の名前ばかり考えていた。
カリンは 抱っこしやすいコンパクトサイズではあるが いたって元気な丈夫な子。
あごのラインのかわいい、まつ毛の長い色白な女の子だ。

すぐ近くに住む彼らは しょっちゅう顔を見せてくれる。
おじいちゃんも「カリンちゃん カリンちゃん」と
小さな恋人に会えるのを楽しみにしている。
カリンは乳児期の頃から手のかからない子だったから
皆のかわいがり様も倍増。
カリンが来た日は 家の中が普段の100倍くらい 賑やかになる。
(私を含め皆がハイな状態になるから 疲れは10倍くらい)
コトとリュウは 一時友達に、「ワカメ」と「カツオ」とあだ名を付けられた。。

でも一番驚いたのは、コトのカリンのかわいがり様・・想像以上だった。
もともと小さい子が好きなのだが やはりカリンは特別のよう。
まだ首が据わらない内から 恐がりもせず お世話をしたがった。
こっそり自分の部屋へ連れて行き 自分のベッドに寝かしつけた。
学校から帰ると かばんを放り投げ「カリンに会いに行って来る!」と走って行く姿は、、
まるでヤクが切れた小学生のようだった。
中学に入りクラブで忙しくなると パソコンの中のカリンの写真集を見ることで
疲れを癒している。

カリンも一歳近くなると 意思表示がハッキリしてきた。
それまで 一緒に私と遊んでいたのに コトが学校から帰った瞬間、
見たことのない笑顔。全く私に遠慮も気遣いもない。
二人の世界が始まると 母親のマリでさえも その中には入れないのだ。

でも そんなコトでも ひとつだけマリに勝てない事がある。
「おっぱい」だ。
カリンがぐずぐず言い出しマリが「おっぱいかな・・」と言った瞬間に
コトの表情がこわばる。
     ーおっぱい・・私には無理なこと。私の負け・・
      ・・あと おっぱいさえ 出たら・・−
カリンをマリに渡し 走り去る後姿のせつない事。
しかし コトにとって 良い時期が来つつある。
おっぱいの回数が少しずつ減って来ているのだ。
(今は断乳でなく 卒乳っていうらしい)
食事も いっちょ前に一日三回。

ある休みの前日、コトがマリにメールしていた。
「明日来てね。カリンにかわいい服、着させて来てね。」と。
コトがかわいいカリンを人に見せびらかしたくて 仕方ないのだ。
(姑の私が同じ事言ったら さぞかし嫌味っぽいことだろう)

コトは半年前に 長い間習っていたピアノを止めてしまった。
が、最近やっと またピアノを弾くようになった。
カリンのために。
カリンの好きなCMのノバの曲や ムーニーマンの曲や
自分のレパートリーを弾くのだ。
小さなお客様は ベッドの中に立ち 誰が教えたでもないリズムをとり
大きく身体を揺らしている。
ピアノを止めたことは残念ではあるが
二人を見ていたら 充分だと思った。
だってコトは とても楽しそうにピアノを弾いてるし
カリンは誰よりも コトのピアノを喜んで聴いているのだから。

「男女平等」は強まって、たくましく生きてほしいのだけれど、
「女らしさ」は決して忘れないで
素敵な女性になっていって欲しいな。
カリンとコト!!

2003.5.28
カリン満一歳の誕生日にて。

リンタンに絵本を作りました。良かったら覗いてみてください。
「Happy Birthday Karin
 -これから迎えるたくさんのすてきな誕生日にー」